CRM活用に失敗する25の原因
顧客管理に役立つシステム「CRM」を導入している企業は多く存在します。しかし、日経コンピュータ2018年3月1日号には2018年の結果では約半数の企業がCRMの導入に失敗しているという結果が出ています。なぜ多くの企業でCRMの導入に失敗しているのでしょうか?
そこで今回は、CRMの導入・運用における25個の失敗原因を導入前・導入時・運用体制・運用ルール・データ分析の観点から紹介させていただきます。
1. CRM導入前
なんとなく導入する
主目的があいまいなまま導入を行うとシステムを活用しきることができず、当初想定していた効果を発揮することができないことがあります。導入目的が、顧客満足度の向上なのか、売上の拡大なのか、営業を効率化なのか、どのような目的を持って導入するのかを明確にする必要があります。目的が曖昧なままで運用を開始しても、十分な効果は見込めず、なぜ導入したのかも明確にできないまま、ずるずるとサービスを利用するだけになってしまうでしょう。
CRMツールを比較しない
CRMシステムは様々な企業で提供されていて、シンプルなものから高機能なものまで様々なものがあります。安直に高機能なものに飛びつくのではなく、自社のサービス、規模にあったツールを比較する必要があるでしょう。
「オンプレミス」で構築する
サーバーやネットワーク機器を購入して、自社の建物内に設置・運用していくことを「オンプレミス」といいます。オンプレミスを活用していく場合には、運用を始めてみてすぐに致命的な問題が発生しても止めることができません。すぐに始められてすぐにやめられるクラウドを活用することをお勧めします。
CRM導入にあたっての分析が上手くできていないCRMに限らず新しいことを取り入れるには、自社に必要かどうかの事前分析を行います。失敗している会社の多くは、事前分析を行わずにとにかく周りがやっているから、導入すればメリットがあるだろうと実行に踏み切ってしまいます。
2. CRM導入時
導入準備中に次々と問題が発生してまとまらない
導入するにあたって問題が起きることを想定している必要があります。なぜなら、導入過程で何も問題なく導入できる方が稀で珍しいからです。実際に対処できる術がなくては、結局そこで頓挫してしまうでしょう。
導入後のフォローや定着するためのセミナーがない
CRMをとりあえず導入して維持管理がおろそかになるなど、活用に失敗する会社は導入後のフォローを怠る傾向があります。これが人が入れ替わるたびに繰り返され、慢性化していくことによって、最初はうまくいっていたとしても長続きしない可能性があります。重要なのは導入することではなく、運用を確実にやっていくことです。
CRM導入に関して社員からの理解が得られていない
CRMを導入すること、導入する意義を経営層が明確にしていても、社員が経営層の考えを理解していなければ、顧客と信頼関係を築き上げることができずに効果を実感することができないでしょう。社内で研修を行うなど、全員の意識を統一することが重要です。
CRM導入に対して抵抗感/嫌悪感を示すCRM導入によって、今まで運用されていた社内規定が変わることが多いです。以前と違う運用になることに嫌悪感を示す社員もいます。
全社でいきなり導入している
CRMシステムを導入する際に、どうしても全社的に導入したくなってしまいます。しかし、システムに不具合が出た場合に対処の範囲が広すぎて対処しきれなくなってしまうでしょう。導入スケジュールを作成し、一部の部署から初めて、最終的には全社運用に進めます。同時に運用後のシステム評価もスケジューリングします。
3. 運用体制
管理体制ができていない
目的を持って導入をすることができても、そのあと管理をすることができなければ意味がありません。導入だけでなく体制管理を行うことができなければ、会社にプラスに働くどころかマイナスにしか働かなくなり、せっかく導入したにもかかわらず運用を停止することになりかねません。
各部門の調整役が不在でバラバラになる会社はその規模に関係なく総務部、人事部、経理部、営業部、開発部など部署別の機能を持っています。当然、部署ごとの現状と指針があります。しかし、CRMは全社的な取り組みであることを理解して運用しなければうまくいかないため、部署ごとの調整ができる人材が必要になります。
CRMを管理する役割の人材がいない
CRM導入は資金さえあればどの会社でも可能ですが、それを運用し定着をさせるのは、会社の経営陣だけではありません。確かに会社の方針を決めるのは会社のトップですが、末端の社員にまで定着させないと運用が軌道に乗ることはないでしょう。社内に推進者や取り締まる役割の人材を設けることを検討しましょう。
CRM運用で困った時に相談できるところがない
CRMは様々なタイプがあること、また運用するにあたって専門的な知識が必要であることなどから、問い合わせと相談ができる部署を準備することは必要不可欠です。しかし、CRMをきちんと理解し活用できる部署を準備しないで導入してしまうことがあります。その結果、社内でうまく定着しないだけにとどまらず、サービスとどのように向き合っていけばいいのか分からない、なんのメリットがあるのかわからないといった不満の声が大きくなっていき、結果的には望んでいる効果を得る可能性が減ってしまうでしょう。
指標が設定されていない
CRMは「費用対効果」が得られにくいと言われています。きちんと効果を得るためには、自社の目的に沿った評価指標を設定することが必要です。
4. 運用ルール
営業がデータを入力しない
データを分析するために入力欄を増やした結果、営業が入力すること自体を面倒臭く感じてしまい、データが集まらないことがあります。営業が1人で情報を管理している状況よりもCRMを活用した方がメリットがあるということを社内に周知する必要があります。
サービスを利用するにあたって部署ごとの属人化したルールができてしまった
CRMを全社的なものとしてではなく、部署ごとによるものと考えてしまう会社も多く見受けられます。つまり、CRMが単なる部署ごとのルールとして機能し、部署間のやり取り時などで異なる運用ルールに惑わされてうまくコミュニケーションを取ることができないという問題に直面することがあります。
部署ごとに活用度が異なる
CRM導入後、部署ごとに運用を開始したものの、部署ごとに推進者の有無やルールの定着度によって差が生まれてしまう可能性があります。活用度が違うことで情報の精度に差が生じるのは避けたい問題です。
カスタマイズをしすぎてしまう
CRMツールの中には「何でもできて、何でもわかる」状態に持っていくだけの性能と機能が整っているものもあります。しかし、入力項目があまりにも多くなってくると、それを入力する手間がどんどん増えていき、入力そのものが手間となってしまいます。その結果、カスタマイズをする前よりもCRMを使いこなせなくなってしまう可能性があります。
統合された社内ルールがない
複数の部署でCRMを導入したものの、統合されたルールがなく、部署ごとに最適だと思ったデータを収集した結果、集まったデータがバラバラになってしまうケースもあります。例えば、「お客様からクレームが入っていることに気がつかずに営業に行ってしまう」「違う部署で連日営業をかけてしまう」などです。そういった防ぐことができる問題を発生させないために、それぞれの部署で集めたデータを集めることが重要です。
入力規則がない
本当に必要なデータだけを絞って運用していくことは困難です。しかし、収集しているデータの中には確実に入力しなければならないデータが存在しています。そのようなデータを確実に入力させるために入力規則は必須です。
5. CRM内のデータ分析
分析方法が理論的でない
CRMによって顧客の情報を管理することができてもその後に繋がらないことがあります。CRMは顧客の情報をうまく分析してこそ価値があるものとなります。うまく活用できないのであればただのノイズになってしまうでしょう。
あれもこれもデータを集めている
データ分析を始めていくとあれもこれもと分析するデータを増やしていきがちです。その結果、どのようなことを分析したかったのか、何を改善したかったのかを落とし込むことができないという問題に直面しがちです。情報の取捨選択をしっかりとやっていくことで必要なデータのみで無駄なノイズを削減することができるでしょう。
集めたデータを活用できない
せっかくデータが集まっても集めたデータを活用できない会社も多く存在します。活用できないデータは意味がありません。活用できないのであれば、アナリティクスを雇うことも視野に入れましょう。
まとめ
CRMの導入・運用における失敗原因25個をご紹介しました。あなたの会社状況に当てはまるものはありましたでしょうか。
当てはまるものがあった方は、以下の記事を参考にしてみてください。
各段階におけるCRMの活用ができていない原因に対してどういう解決策を行うべきかをまとめました。ぜひCRMの有効活用していきましょう。
◎ 導入前
【2019年最新版】BtoB向け顧客管理システム(CRM)の特徴や価格を徹底比較
◎ 導入時
CRMの導入失敗で後悔しないための5つのステップ
◎ 運用時・運用ルール
【営業責任者必見】なぜあなたの部下はセールスフォースを入力しないのか
ただ、CRMの活用ができていないことに対して、そもそも組織体制が原因であるケースがあります。ツールと戦略が一体となっておらず、どんな施策が効果的がわからない・表示したいデータが見えない・どのデータを入れたらいいのかわからないなどといった課題が出てきます。
その課題に対して現在、アメリカではSales Ops・Marketing Opsという役割が現れており、経営者と現場をつなぐためのデータ管理および戦略設計、ツール設計、メンバー育成を1つの組織で担当します。それによって、今までマーケティング・セールスがバラバラに持っていたツールや戦略を1つの組織で行い、全体最適なオペレーションの構築を行います。
以下の記事で詳しく紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
BtoBビジネスの営業力を向上させるSales Opsの9つの役割
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