SalesforceとAPI連携できる業務効率化ツール10選
- 近年では多くの SaaS が提供されており、特に CRM 領域ではSalesforceが圧倒的
- そんな Salesforce も弱点があり、 API 連携できる SaaS ツールで補完されている
- 一方でツール導入にはツール最適化が必要であり、段階的に進める必要がある
- 特にツール最適化の問題が大きい US では、新たに Sales Engagement Technology (SET) という仕組みが誕生し、ツール最適化の問題をカバーされている
最近では、お客様はインターネットを使って多くの情報を得てから購買検討に入ります。
営業に相談したタイミングでは、既に比較検討が終わっているということも多いでしょう。
更に、コロナウィルスの影響で、企業は今までよりもお客様に接しにくくなってしまいました。
そんな中で、各社は顧客情報を活用して顧客を離さないようにと CRM のニーズも高まってきました。
CRM のツールとしては、 Salesforce が他社の5倍という圧倒的なシェアを得ています。
出典:IDC社、『Worldwide Semiannual Software Tracker』(2021年4月)
Salesforce は、営業だけでなく、マーケティング、カスタマーサクセス等、幅広い業務に特化した機能をワンプラットフォームで利用できる仕組みです。
そのため、 Salesforce があれば、大半の業務領域がカバーできますが、実際には多くの企業が複数の SaaS を API 連携させながら併用しています。
国内企業だと、平均8.7個のSaaSを利用しているとアンケート結果が出ており、一番多い企業だと99個もの SaaS を利用しているといいます。
出典:メタップス「コロナ期のSaaS導入変化でふり返る2020年」
特に、コロナウィルスの影響を受けてからの SaaS 利用は60%増加となっております。
出典:メタップス「コロナ期のSaaS導入変化でふり返る2020年」
多くの企業で多数の SaaS 利用があることがわかりましたが、 Salesforce ユーザーでは、どんな領域で、どのように SaaS が使われているでしょうか。
今回は、その全体像から代表的なツールまで、ご紹介していきます。
目次
SalesforceとAPI連携するSaaSツールの全体像
Salesforceがバリューチェーン全体をカバーした場合でも、どうしても対応し切れない領域が発生します。
そのよう場合にも多くの API 連携可能なツールがあり、それぞれのソリューションでカバーすることが可能です。
それでは、このような各ジャンルでは、どういった特徴があるでしょうか。
早速、Salesforce に API 連携できる代表的な SaaS システムを整理します。
ジャンルとして、10種類があります。
Marketing Automation
目的 | 温度感の高い見込み顧客を獲得し商談に繋げる |
理想の状態 | web 上の顧客行動を把握し、メール等で温度感を醸成できる状態温度感を高めた見込み顧客の情報をシームレスに営業等に連携し商談につなげられること |
よくある失敗例 | 単独でツールを入れてしまい、営業への情報連携が人力となる場合運用体制が弱く、コンテンツ作成や PDCA などが回らない場合 |
導入/運用のポイント | 専任担当を置いてしっかり PDCA を回すホットリードを営業に情報連携できるシステム構成で導入する |
コミュニケーションツール(Cloud Communication Platform Service)
目的 | 顧客との円滑なコミュニケーションを実現し、顧客満足度向上と業務効率化につなげる |
理想の状態 | これまで電話で問い合わせのあったものを、満足度を下げることなく web で完結させる電話応対をチャットや web の Q&A に流す事で、業務効率化を実現させる |
よくある失敗例 | 単独での導入となり顧客情報を度外視したサービスになってしまう利便性を下げて顧客満足度が低下してしまう |
導入/運用のポイント | 顧客情報と連携させて顧客を理解したサービスができるように設計すること |
営業支援ソリューション
目的 | 営業プロセスを、細かいアクションレベルで最適化すること |
理想の状態 | CRM 、 MA の情報も集約し、社内のあらゆる顧客情報を基に営業プロセスを設計できる営業プロセスの完全な可視化を行うことで、売上が低迷した時も原因特定が容易になる |
よくある失敗例 | ニッチな CRM や MA を導入してしまい連携が難しい状態で利用する場合、情報の集約が困難で運用に載せにくくなることがあるPDCAをまわす体制を作らず導入し、完成度があがらないまま運用してしまう |
導入/運用のポイント | 運用に乗せるまでのプロジェクト体制を組む現場に推進リーダーを作り営業内部での推進力を持たせる運用に乗った後も、営業環境の変化に対応するため、管理チームを残す |
Customer Service Platform
目的 | 顧客サポートの業務効率化と顧客満足度向上 |
理想の状態 | chat bot 等で大半の問合せを完了させることができ、業務負荷を最小にできる web 上を含む顧客情報を統合的に管理し、全部門で活用できるようにする |
よくある失敗例 | 顧客サポート部門で完結する仕組みとなり他の部門に引き継がれない拡張性のないサービスを入れてしまい、 chat bot 等への拡張に多額の費用がかかる柔軟性のない仕組みを入れてしまい、管理項目の変更に柔軟に対応できない |
導入/運用のポイント | 最新の仕組みに追随して顧客満足度を高めるため、拡張性/柔軟性の高い仕組みを採用する他部門とのシステム連携が容易なものを採用 |
社内コミュニケーションツール
目的 | 社内連携を円滑にし生産性の向上を図る |
理想の状態 | システムを跨いでもコミュニケーションが一箇所に集約されていて容易に確認が可能全社でやり取りの内容がシェアされて活用できる状態業務に紐づいており関連性がわかる状態 |
よくある失敗例 | 単純にコミュニケーションツールのみ入れてしまい、他のシステムと開き分けながら業務を行う運用を現場任せにしてしまい、利用されなくなってしまう |
導入/運用のポイント | 他のシステムとの連携や棲み分けを考慮して導入する経営層やマネージャーにコミットを得て率先して活用いただく |
オフィススイートツール
目的 | コラボレーションの円滑化と生産性向上 |
理想の状態 | 他の業務基盤と連携できており二度手間がない状態 |
よくある失敗例 | コラボレーションツールが乱立する業務基盤との連携ができず二重入力になる(例: CRM とスケジューラが連携できずどちらにも予定登録が必要になる等) |
導入/運用のポイント | コミュニケーション時に、どのシーンでどのツールを使うかルール化する業務基盤など、特定の部門だけが使う仕組みとの連携も考慮して導入を検討する |
電子署名ツール
目的 | 契約プロセスの効率化と経費削減 |
理想の状態 | 更新契約等は可能な限り自動化され、手間がかからない状態通常の契約も全て電子化されて経費と労力がかからない状態 |
よくある失敗例 | 見積情報など社内システムとの連携が難しく運用に乗らない場合サインは電子化したが、社内管理のため印刷して保管している |
導入/運用のポイント | 必要なシステムと連携が可能なことを明確に確認する運用に乗せたら可能な限り電子化し、紙は出さないよう徹底する |
Business Intelligence (BI) Tools
目的 | 蓄積したデータを多面的に分析し経営判断の高度化につなげるデータから業務改善へのインサイトを得る |
理想の状態 | あらゆるデータを即座に分析できる状態 |
よくある失敗例 | データの取り込み、解析等で一回の分析に長い時間がかかってしまい、タイムリーな判断ができないアナリティストにしか使えないような複雑な仕組みを入れてしまう |
導入/運用のポイント | 業務プラットホームとの連携が容易なことを重視することで、システム的なタイムラグを最小にする操作が容易な仕組みを採用し、活用の幅を広げることで投資対効果を高める |
会計・決済管理ツール
目的 | 会計業務の業務効率化 |
理想の状態 | 会計業務を半自動化し極力時間を割かない |
よくある失敗例 | 管理だけのシステムを入れてしまい、大して効率化されない会計だけの仕組みを入れてしまい、給与計算等の関連業務に影響を受けて業務効率化しにくくなる |
導入/運用のポイント | 拡張性のある仕組みを採用するシステム連携が容易である点に留意する社内の体制が十分でない場合、経理などの知識面でのサポートがあるベンダーを採用する |
契約・請求管理系ツール
目的 | 契約・請求業務の最適化による業務効率化と売上向上につながるインサイトの獲得 |
理想の状態 | 業務に合ったシステムを採用し、契約・請求管理業務を可能な限り自動化している状態契約情報の分析を可能にし、顧客との関係性強化に繋がるインサイトを得られる状態 |
よくある失敗例 | 無理に契約管理基盤を開発してしまい、サービスの変更や顧客ニーズの追随が難しくなってしまう業務システムとの連携が難しい場合に、二重入力となる場合がある |
導入/運用のポイント | 業務システムと連携でき、ワンプラットフォームで契約・請求管理が賄える基盤を採用する顧客の要求に応じ、契約内容は変わる場合があるので、柔軟性の高い仕組みを採用する |
これらの各領域について見ていくと、マーケティングから、営業・カスタマーサポート・バックオフィス・マネジメントなど幅広い領域がカバーされている点がわかります。
また、それぞれのツールにおける、導入/運用のポイントや、失敗例も共通点が多いことがわかりますね。
それでは、それぞれのジャンルではどんなものが採用されているのでしょうか。
SalesforceとAPI連携できる業務効率化ツールで代表的なもの全部で10選をご紹介します。
SalesforceとAPI連携できる業務効率化ツール10選
それでは、それぞれのツールについて、簡単にご紹介します。
- MA (Marketing Automation): Marketo
2014年にマルケト社が創業されると共に提供開始した MA ツールの代表格が Market です。
現在は Adobe 社が買収しております。
主な導入企業は村田製作所や、さくらインターネット社があります。
Salesforce 社が買収し提供している MA 「 Pardot 」と競合になる領域ですが、 Pardot よりもよりマーケター向けで多機能なソリューションという位置付けで差別化を図り、多く利用されている代表的な MA ツールといえます。
- コミュニケーションツール(Cloud Communication Platform Service): twillio
twillio は2008年創業の企業でコンタクトセンターにおけるコミュニケーションツールの代表的なSaaSソリューションです。
Salesforce Service Cloud で chat bot 等を提供する機能はありますが、それらを補完するような導入方法となることが多い領域です。
代表的な導入企業は、テラスカイ社や KDDI 社などが、パートナーとしても稼働されつつ事例企業としても有名です。
- 営業支援ソリューション( Sales Enablement Technology / Sales Management Techonogy ): Magic Moment Playbook
Magic Moment Playbook は2021年1月にローンチした新しいサービスです。
Salesforce のコア領域であるCRMをさらに進化させる仕組みといえる革新的なサービスです。
主な導入企業としては、ヌーラボや LINE が有名な事例となっています。
- Customer Service Platform : Gainsight
Gainsight 社は2013年から「カスタマーサクセス」をテーマに活動を続け、現在は同ジャンルで世界シェアトップの企業となっています。
Adobe や GE などの IT 企業を中心に幅広く利用されているソリューションです。
- 社内コミュニケーションツール: Slack
Slack は統合型の社内コラボレーションツールで、 Salesforce を初め多くの SaaSソリューションと連携でき、ハブ的な位置付けを狙っているツールです。
InTuiTやFOXを初め多くの企業に採用されており、無料版も含めると数え切れないほどのユーザーを抱えています。
- オフィススイートツール: Google Workspace
こちらはほとんどの方がご存知かもしれませんね。
旧 Google Suite が新しくなったソリューションで、2012年に提供開始しています。
Google Workspace となってから、コラボレーション関連を初め多数の機能が拡充されています。
- 電子署名ツール: DocuSign
2003年から提供開始している電子署名ツールにおけるパイオニア企業が Docusign です。
専攻したソリューションであるだけに、システム連携などもしっかり確立されていて導入のハードルは低いといえます。
三井物産、パソナ、 NEC など契約書が特に必要とされる業種では積極的に導入が進んでいます。
- Business Intelligence (BI) Tools : tableau
2003年に創業し提供開始された tableau ですが、現在は Salesforce が買収し傘下になっています。
買収前は何度も競合していた2社ですが、Salesforce に買収後はより一層連携しやすくなってきています。
Salesforce がもともと持っていた BI サービスとの棲み分けも綺麗に行われているようです。
ヤフーやサイバーエージェントが事例となっています。
- 会計・決済管理ツール: freee
2012年より創業・サービス提供をされている freee は、中小企業を中心に採用が広がっており、会計領域の代表的 SaaS ソリューションとなっています。
ラクスルや GMO など有名企業が事例として上がっています。
また、同社は Salesforce 事例企業としても有名で、 Salesforce のビジネスモデルを積極的に取り入れている会社でもあります。
- 契約・請求管理系ツール: Zuora
2007年より提供開始しているZuoraは、サブスクリプションビジネスにおける契約・請求管理では唯一と言っていい代表的な管理ツールです。
サブスクリプションビジネスの契約管理は、とても複雑で一般的な仕組みだとなかなか管理し切れない領域でした。
それを早い段階からサービス提供していたこともあり、Zuora社は急成長を遂げています。
業務効率化ツール導入の注意点
10個挙げた各ジャンルで、それぞれ、とても魅力的なサービスが各領域で揃っていることがわかりました。
一方で、こうしたツールを導入する際に、注意すべき点は共通するものがあり、どのジャンルでもそれなりに気を使っていく必要があります。
それでは、どんな点を注意すればいいのか、次に解説します。
ツール最適化の必要性
特に共通して注意が必要な点は、以下の3点です。
- 既存システムの老朽化:古いシステムが業務効率化のボトルネックになっている
特に日本企業で多く見られますが、自社の最適なシステムを追求するあまり、どんどん開発をして行って、リプレースが難しくなっている場合があります。
そうしたシステムは、最新のソリューションを実装しにくくなるだけでなく、新たに導入したソリューションとの連携が難しかったり、追加開発が必要になったりと障害になることが多いものです。
こうした仕組みは、どこかのタイミングで思い切って切り離す必要があります。
- 部門間のツール連携における非効率:人力によるデータ移行作業が発生している
企業によっては、部門で独自に入れてしまっているツールがあり会社として管理できていないことがあります。
導入後に、こうしたツールの存在に気付いたりすると、システム連携の段取りも組めず、運用でカバーする羽目になり結果として生産性を下げます。
こうした管理外となっているツールをうまく統制する必要があります。
- 現場でツールの利用が定着しない:データを入力してもらえない
あらゆるツールでいえることですが、導入後、運用に乗るかどうかは大きな問題です。
業務基盤では、このハードルを超えられず、利用をやめてしまうツールもたくさんあるものです。
こうした問題に、各SaaS企業はサポート体制を作るようになってきました。
例えばSalesforceでは、カスタマーサクセス部門を立ち上げて運用に載せるまでの支援をする専門部隊を有しています。
このような課題に対応するために、ツール最適化を進めていくことが特に重要といえます。
ツールの最適化とは、各部門が業務に用いるツールを活用し、作業効率化や情報連携による生産性の向上を実現することを目的として行う取り組みです。
ここまで説明してきた通り、各社では既存システムが複雑化してしまったため、新い取り組みをするために、システム改修や連携などで追加コストを払わなければ、成果を出しにくくなっています。
具体的には、以下の資料のような構造となっています。
また、運用にのせるためのコンサル費用などもかかってしまうこともあります。
試算では100人の営業組織でツールの最適化に取り組まなければ、年に約2億円かかるという試算も出ているほど大きな問題といえます。
それではツールの最適化を進めるためのステップについても、簡単に触れておきます。
<ツール最適化のステップ>
- 設計:目的とステークホルダーの明確化
- 導入:目的に沿ったデータ移行や統合
- 活用:利用促進と効果測定
こちらのステップは、上記資料を参照ください。
このステップはあくまでも大枠であり、企業によって手順は大きく変わってきます。
こうした取り組みは、プロジェクト体制を組んで会社として進める必要があり、経営陣のコミットメント、現場の協力体制、システム管理者のサポートが長期間にわたり必要となります。
US で先行して取り組まれているツール最適化を支える事例
こうした中 USでは、ツール内に蓄積したデータを活用する新たなテクノロジーが誕生しており、ツールの最適化を支援する例として注目されています。
ツール先進国の米国では、1社あたりのツール導入数も圧倒的に多く、日本以上にツール/データ連携の課題が顕在化しており、ツール最適化は喫緊の課題でした。
そんな中で、 Sales Engagement Technology ( SET ) という仕組みが誕生し、 CRM や MA をはじめ、 各システムの統合をシームレスに実現する取り組みとして一般化しています。
このように、日本ではようやく、 CRM が普及してきた段階ですが、US の先進企業は、 MA / CRM に加えて SET を活用しているのが既に当たり前となっているのです。
これらの先進事例について、さらに詳しく知りたい方は、こちらの資料をご一読ください。
本資料を読めば、以下の2点をクリアできる ように、必要な情報を厳選しました。
①多くの企業が直面しているCRMおよびそのデータ活 用の実態について知る
②上記課題を解決する最先端テクノロジーの概要と効 用について理解する
まとめ
今回は Salesforce と API 連携できるツール10選の紹介を通じて、現在の SaaS で代表的な領域から、どのツールでも共通して起きている問題点と、その解消法の一つとしてSales Engagement Technology (SET)がUSでは誕生し一般化しつつある点までご紹介しました。
まとめると以下のような内容です。
- 近年では多くのSaaSが提供されており、特にCRM領域ではSalesforceが圧倒的
- そんな Salesforceも弱点があり、API連携できるSaaSツールで補完されている
- 一方でツール導入にはツール最適化が必要であり、段階的に進める必要がある
- 特にツール最適化の問題が大きいUSでは、新たにSales Engagement Technology (SET)という仕組みが誕生し、ツール最適化の問題をカバーされている
こうした新しい考え方は、すぐに日本でも必要な考え方となってきます。
先行してSales Engagement Technology (SET)を取り入れていくことで、IT戦略において他社よりも抜きに出ることでビジネスにおける競争優位を勝ち取りましょう。
API連携の重要性については「BtoB SaaSにおけるAPI連携の重要性と3つの落とし穴」で詳しく解説しています。ぜひ併せてお読みください。
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