ABMに不可欠な4種類のCRMデータとは?

BtoBビジネスの手法の1つであるABM(アカウントベースドマーケティング)は、明確にターゲティングした顧客に対してマーケティングおよび営業リソースを戦略的に集中させ、パーソナライズしたキャンペーンを展開していく手法です。

ABMでは主に、対象顧客の属性とニーズを踏まえてターゲティングしていきます。

そこで、この記事では、ABMでのターゲティングを行なっていく上で不可欠な4種類のデータについて解説していきます。

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?

最初にABM(アカウントベースドマーケティング)について解説しておきます。ABMとは、最初から優良な顧客を絞り込み明確なターゲットに向けたマーケティング手法や戦略のことです。

主に顧客になるターゲット企業に対して、最適な課題やニーズを絞り込めるようにデータの一元管理を進めていきます。それらデータを基にした無駄のないアプローチを展開していきます。

ABMでは、オンラインとオフラインで混在する過去ターゲット顧客のデータなどをクラウドにて一元管理することを目指します。それにより、事業部間や部門間で発生した情報共有にかかる時間の無駄を減らすことができるのです。これにより具体的にセールス部門とマーケティング部門で情報共有が可能になり、ターゲットを絞り込むことができます。

ABMの導入で得られるメリット

では、ABMを導入する上で顧客企業が得られるメリットについて解説していきましょう。BtoBビジネスにおいて、ABMの導入にのメリットは主に5つあります。

重要顧客だけへのアプローチが可能

契約後のLTVが高い傾向にある、優良な顧客属性の企業だけを絞り込むことがABMの特徴になります。そのため、重要な顧客企業だけに向けたマーケティング活動が行えることになるのです。

結果的にABM導入のための投資効果の高さは他のマーケティング戦略と比べても秀でていることになります。

人的リソースの最適化

ABMでは、無駄な見込み客への訴求活動の必要がないため、社内の人的リソースを有効に配置することが可能になるでしょう。つまり、組織規模に関係なくリソースの適材適所への配置が可能になるのです。

限定顧客へ向けた集中対応が可能

ABMは、組織間で一元管理された膨大なデータを効率的に展開するマーケティングになります。そのため、個別対応の限定顧客に向けて集中したコミュニケーションも取ることが可能になるのです。

従来のマーケティングでは、個別対応になるとリソース不足になりがちだった部分をアカウント選定により限定顧客へ濃い訴求ができるようになります。

測定と行動の効率化

ABMの始点は、重要顧客として選定されたターゲットです。そのため、量ではなく質の高いリードのみを管理することになります。質の高いリードだからこそ、効果測定の施策も具体的に展開できるのです。

また、施策や改善策が具体的で明確であるため、社内リソースのPDCAサイクルも精度を高めることができます。この一連の流れが好循環となるのです。

組織間の連携

ABMのメリットとして、社内連携のスムーズさを上げることができるでしょう。それは、組織規模が大きく部署間の認識違いによるトラブルを改善させることにもつながるのです。具体的には、営業担当とマーケティング担当のデータ連携が可能になるため、顧客企業へのアプローチに一貫性を持って円滑に展開していくことができます。

上記に紹介したメリットを持ったABMを導入するにあたって、必要不可欠なデータを次に紹介しましょう。

ABMに不可欠な4種類のデータ

それでは、顧客企業がABMを導入するにあたって必要になる4種類のデータを紹介します。4種類の顧客プロファイルデータを作成していくことがABMを提案する際に重要なポイントとなるでしょう。冒頭でも紹介しましたが、4種類のCRMデータとは次の通りです。

  • 会社情報
  • 技術情報
  • ターゲットの意図データ
  • エンゲージメントデータ

ABMを成功させるためには、既に高いニーズが見込めるターゲットに対しての展開であることが重要です。そのため上記にあげたCRMデータをバランスよく精査していく必要があります。

会社情報

最初にABMに必要になるCRMデータとは、顧客企業の会社情報です。この顧客企業の会社情報はABMではアカウント選定に直結する重要な部分になります。顧客の会社情報を基にして、企業の共通の属性ごとに優先順位をつけていくのです。この段階で顧客ニーズの高い企業をピックアップしていきます。

この会社情報には、組織内の部門間や部署内での重要な意思決定者の選定も含まれています。それは、最高責任者にとどまらず部門別や事業部別での意思決定者へのタッチポイントまでを洗い出していくのです。

ある程度の企業情報はインターネット上で収集できますが、オンラインデータが不足している場合はオフラインでの営業担当の調査も必要になってきます。さらに外部依頼にて情報の収集も必要になる場合もあるでしょう。一般的には、次にあげる情報によりABMの導入にふさわしい状況であるか?選定していくことになります。

  • 企業の規模(資本金・売上高・顧客数など)
  • 従業員数
  • 業界での位置
  • 会社の成長性と実績
  • 会社所在地やサービスの展開場所

ABMでは、顧客企業1社につき1つのアカウントとして選定し、アカウントを基にした顧客データの作成を進めていくのです。

技術情報

ABMでは、ターゲット企業で現在活用されているテクノロジーと将来的に活用を検討中のテクノロジーを明確にしたデータ情報を明確にすることも必要です。顧客企業の得意とする技術と将来的に成長が見込める新しい技術の導入の提案も不可欠なデータとなるでしょう。

昨今のBtoBビジネスでは、量による訴求よりもニーズに合ったリードの質を求められます。

ABMは、顧客企業が持つ技術的なデータを基にして、よりパーソナライズ化された提案を提供できることが可能になります。

ターゲットの意図データ

MAツールを活用することで、自社のWebサイトに訪れた顧客のニーズのデータを分析することができるようになります。

しかし、一度自社のWebサイトを離れてしまうとMAでは分析することができません。自社のWebサイト以外での見込み顧客の行動について

  • 顧客が他のサイトで検索しているトピック
  • 関連するカンファレンスへの参加状況
  • 広告のクリック

これらのデータををヒアリングすることで、顧客の真のニーズの度合いを測ることができるようになり、競合他社より素早くニーズを察知しアプローチすることができるようになります。

エンゲージメントデータ

ABMに重要なエンゲージメントデータは、意図データとは対照的に、見込み顧客が自社に対するエンゲージメントを明確にするデータです。具体的に上げると次のようなデータになります。

過去の営業実績

既存顧客に対して、営業担当者とどのようなコンタクトを取っていたのか、またその結果、顧客の購買フェーズはどう変化していったのか。どのような訴求ポイントが決め手となったのかという記録を分析していきます。主にCRM上に保存されている情報が用いられます。

ウェブ上での行動履歴

ABMでは、顧客エンゲージメントを測るために、自社のWeb上でどのようなコンテンツや資料を閲覧したのかというデータが必要になってきます。匿名ユーザーではなく、特定されたユーザーデータが必要なため、MAツールの活用によるデータ収集が必要不可欠となります。

まとめ

ABMを導入する上で不可欠な4種類のデータについて解説してきました。
ただ、データが存在しても誰もがABMをすぐに導入・実行し、成功させられる訳ではありません。Salesforceによると、25.5%のBtoBマーケターがABMの最大の懸念点は「実行能力の欠如」と回答しています。では、具体的にどのような点の実行が難しいのかを以下の記事で紹介しています。
ABMの導入を考えている方はぜひご参照ください。

BtoBマーケティングで陥りがちなABMの罠