女性が働きやすい組織の特徴と作り方
1986年4月1日に施行された男女雇用機会均等法を始めとする、女性の社会進出を後押しする施策があります。しかし、果たして現在、女性にとって働きやすい環境が完全に整っているといえるのでしょうか。
本記事では、女性が働きやすい組織を作るべき理由や、その方法について解説していきます。
女性の社会進出の現状
総務省が毎年発表している統計によると、役員を除く男性の雇用者は2019年に関して、全体で3024万人、うち正規社員は2334万人で77パーセントを占める一方で、女性の雇用者は全体で2635万人、うち正規社員は1160万人とわずか44パーセントとなり、人数は男性の半分程度です。
では実際の職場では何が起こっているのでしょう。
□子育てや介護で離職をせざるを得ない
妊娠、出産、また親の介護で離職する人は少なくありません。またその離職する人はほとんどが女性です。時短勤務や、有給を希望通りに取得できる職場だけではなく、周囲の共感が得られなかったりすることで、働き辛さを感じてしまい、離職してしまうのです。
子供を預ける保育園、学童保育はまだ十分になく、また老人ホームも待機が出ており、専門機関を頼って仕事を続けたいと希望することも叶わない状況です。
□時短や非正規で働くことになり昇進やスキルアップが望めない
育児休暇制度を利用し、その後復職したとしても、時短勤務や非正規雇用形態としての勤務を選択する女性は少なくありません。子供が小さいうちはしばらく働かないという選択肢をとる方もいるでしょう。
そういった人たちが復帰した後に、しっかり仕事ができ、活躍できる環境が用意されていないことがあります。一度離職した機関があると、出世ルートから外されてしまったと感じる人もいます。
また正社員が受けているスキルアップのための研修や教育機会を、同様に非正規の従業員が受けられていると答える企業はまだ少ないように感じます。非正規で優秀な社員のスキルを更に伸ばす機会を設けられていないのです。
□男性社員と給料の差がある
女性の就業率は35~39歳を底に再び上昇しますが、その大半が非正規での就業です。当然ながら正社員が多い男性との賃金格差が縮まるはずがありません。
また仕事と家庭の両立が困難になる事が想像され、かつ周りに同性の管理職がいない為、理解を得られないと考える女性も多く、昇進を望まない女性が多いのも事実です。実際に女性管理職の約7割は子どもがいないという調査もあるほどです。
女性が働きやすい組織が求められる理由
日本では少子高齢化が進み、国民一人一人の生産性が世界でも低いとされています。
生産性を高める為に、人々が能力を高め、その能力を存分に発揮できる全員参加の社会と人材の最適配置とを同時に実現し、わが国の経済を量の拡大と質の向上の双方の観点から成長させていくことが重要であります。
全員参加の社会実現の為には、多様性を認めた取り組みをしていかなくてはなりません。これは4年毎に厚生労働省が発表している職業能力開発基本計画の、第10次(H28年発表)にも記載している内容で、国全体の課題として、企業1社1社が取り組んでいかなければならないものであると言えるでしょう。
その為には、国の施策は勿論、企業が主導で女性がもっと働きやすい組織を作っていくことが必要ではないでしょうか。
女性が働きやすい組織の特徴
□子育て支援制度が整っている
各企業にて設けられている、子育てに関する支援制度が充実していることです。その制度は様々で、「時短制度」「企業内託児所の運営」や最近では「在宅勤務制度」などを取り入れている企業もあります。
しかし制度を作って終わりでは何の意味もありません。制度がどれだけ活用され、活用する価値のあるものであるかまで組織は負う必要があると考えます。
□ロールモデルがいる
ロールモデルとは、簡単に言えば「お手本となる人物」のことを指します。自分の目でしっかりと確認でき、具体的に仕事の手本となり、できれば助言を受けることができる身近な人物であればあるほど良いとされます。
子育て中であっても、キャリア志向がある女性社員も当然います。実績を重ね、上の役職へ昇進していきたいと考える人が多くいるでしょうが、役職を持つ社員の多くはまだ男性である企業が多数です。
その中でも、実際に活躍している女性社員がいることは、現在子育てと仕事の両立で奮闘している社員だけでなく、若手社員の光ともなるでしょう。
□周囲の理解が得られている
これこそ最も重要な特徴ではないでしょうか。どんなに制度が整っていても、その制度を利用する雰囲気や事例がなければ何の意味もありません。
女性社員が制度を利用しやすいように、まずは上司が制度の理解を進めることや、また制度を利用した際の周囲の社員から理解を得やすいような環境を整えられていることが大切です。
また、企業単位だけではなく、国全体としての取り組みもあります。
2020年4月からは大企業に対する同一労働同一賃金の適用が始まります。この施策は、①給与や賞与等の賃金面に格差が出ないようにしなければならない。②賃金以外の教育訓練や福利厚生などにも格差を是正しなければならないといった内容になっています。
働き方改革の後押しの一つとされる背策となっており、これによって「長時間労働の改正」、「労働の多様性と柔軟性」、「雇用形態に関わらない公平性」が進んでいくとされています。
例えば子育て中で、時短勤務で働くことを希望する女性社員が賃金格差が出ないような配慮であったり、非正規雇用で働くパート社員が希望すれば、スキルアップ研修をうけられる制度を作り、昇格の対象とするようにします。
大企業に始まり、翌年から中小企業も対象となるので期待したい所です。
女性が働きやすい組織を作るために取り組むべきこと
上記でも述べたように、組織においてどんなに素晴らしい制度があろうとも、その制度を活用できなければ絵にかいた餅で終わってしまいます。女性が生き生きと働いている組織とは、制度をうまく活用し、多様性を互いに認め合っている組織であると考えます。
そのような組織を作るために、企業がすべきことは何があるでしょうか。いくつか事例をまとめました。
□1on1ミーティング
1on1ミーティングとは上司(マネージャー)と部下で1対1の個人面談を行うことを意味しており、最近よく耳にするワードではないでしょうか。成功事例として上がることが多いヤフー株式会社をはじめ、現在では多くの企業が1on1を活用しています。
日々の業務での成果や失敗について話し合い、部下に気づきを促すことで、個々の能力を引き出すことを目的としたミーティングです。
女性社員、特にワーキングマザーだと限られた時間内にパフォーマンスを発揮しなければならない為、目の前の業務で手一杯になってしまうことが多いですが、1on1ミーティングを通して、業務の見直しや効率化、また適正な評価をしてもらいやすい環境を作ります。
上司から部下へのフィードバックだけではなく、部下からも相談しやすい雰囲気を作ることで、相互理解が深まり、組織への定着化が図れるという効果があります。
□テレワーク
テレワークとは、在宅勤務、外出先や移動途中での時間を有効に活用するモバイルワーク、社外に設けられたサテライトオフィスでのリモートワークなど、時間や場所にとらわれないワークスタイルのことを意味します。
子育てと仕事を両立する女性社員にとってわずかな時間でも惜しい中、通勤時間を業務や家事に充てることができるこの制度も、多くの企業が取り入れ始めている制度の一つです。
オフィスに出勤しない分、メリハリをつけて働く難しさや他社員とのコミュニケーションの取り方など、課題は多くありますが、これも女性が組織内でパフォーマンスを上げて働くことができる一つの制度であるでしょう。
具体的な実践事例
それではどのように実際の現場に取り入れていけばいいでしょうか。注意点と共にご紹介します。
□1on1ミーティング
まず話す内容としては、社員から日々の業務についての悩みや出来事に対し、上司が解決策を一緒に考え、提供する事が大切とされています。大事なことは、一方的に上司の考えを押し付けたりせず、社員の内省を促すよう、あくまでも助言をする、という事です。
失敗するミーティングのやり方としては、叱責したり評価の場にしたりする事です。また、上司が一問一答のように項目にそって質問攻めにしたりする事もNGです。雑談から始まり、相手が話しやすい雰囲気を作る事が上司には求められている事を理解しましょう。
頻度は隔週に一度、長くても月に一度の頻度で行うといい効果が出るといわれているミーティングです。頻度高く行うので、お互いが意味のある、有意義な時間を過ごすために、いい関係を作っていく事を意識して行いましょう。
□テレワーク
導入するためのインフラ整備は非常に重要です。ベルフェイルやZOOM等、最近は様々なツールが出回っているので、しっかり比較してどのサービスが自社に適しているか検討する必要があります。また自宅にネット環境が整っていない社員への環境整備やセキュリティ構築など、導入までしっかり時間をかけましょう。
またテレワークを導入するにあたり、ほかにも課題とされる事項があります。よく聞く事例としては、「テレワークできる業務がない」や「コミュニケーションがうまくいくか」等です。
職種によっては、確かにテレワークできる業務がない、と嘆く社員もいると思いますが、まずは業務内容の棚卸をし、「社内でしかできない事」と「自宅でもできる事」とを整理してみましょう。
「コミュニケーションがうまくいくか」に関しては、業務管理ツールを共有し、仕事の進捗を社内害互いに確認できるようにしたり、ツールを使いウェブ会議を行うこともできます。また、日程を調整して出社してもらい、定期的に直接顔を合わせる時間を作る事も大切です。
必要な事は、社内で働く人、在宅で働く人互いが尊敬と信頼をし合いながら働く事です。その気持ちが根本になければ、どんなにいいツールを使ってもいい仕事はできません。導入する際には、相互理解をするための時間をしっかり設けてから始めましょう。
まとめ
組織内での働き方に悩んでいる女性は世の中にまだまだ多くいます。ここに挙げた事例はほんの一部であり、模索中の企業も沢山あることでしょう。
業務の棚卸をし、いかに効率よく働くことができ、売り上げを最大化できるかを個人から組織へ広げて考えていかなければならない局面に達していると思います。そうすることでより組織内で女性が生き生きと働ける環境を作っていけるのではないでしょうか。
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