不況・コロナによって法人営業はどう変わってしまうのか?
- 近年営業を取り巻く環境は大きく変化しており、コロナ禍がその動きを後押ししている。
- コロナ禍をきっかけにオンライン上での面談や営業活動が進み、必ずしも対面営業が当たり前では無くなってきた。
- 社内でのコミュニケーションに基づく主観的な評価から、SFAやCRMなどの営業支援ツールを活用した客観的な評価への見直しが必要となってきている。
- 営業活動をデジタル化することで、時間とコスト面でも多くのメリットが得られる。
- SFA/CRMのような新しいツールや手法を導入する際は、サポート体制の整備や、自社に合ったサービス選定が必要。
2020年の3月頃に初めての新型コロナウイルスのパンデミックによる緊急事態宣言が発令されました。2021年6月時点でも3回目の緊急事態宣言が延長され、引き続きコロナ禍の状況が続いています。
経済への影響として、特に航空産業や鉄道、ホテル・旅館などの観光産業、外食産業で大きな損失が出ています。一方で、テレワークの推進や外出制限により、ICT技術(情報通信)関連の産業やeCommerceの分野では売上が上昇しています。
営業を取り巻く環境変化
コロナ禍以前より、営業を取り巻く環境は大きく変化しています。
- 顧客の購買行動の変化
- 販売活動の複雑化
- ビジネスモデルの変化
- ディスラプターの登場
- プロダクトの複雑化
- 労働力不足
など様々な環境変化に伴い、営業の方法も変わってきました。
加えてコロナ禍により、営業活動の変化は決定的になり、
- 営業形式は対面営業から非対面営業へ
- 営業活動は量から質へ
- 情報共有の仕組みはアナログからデジタルへ
- 商談・顧客管理から、顧客エンゲージメント管理へ
変化しました。
非対面営業
新型コロナウイルスのパンデミック以前では、対面営業が当たり前といった常識が根強く残っていました。「足で稼ぐ」という言葉があるように、見込み顧客への訪問数が価値基準の1つとされ、訪問数をKPIとしている組織も多くあります。
訪問営業は見込み顧客の担当者に直接会えるメリットがある反面で、時間的・金銭的コストが多くかかる行為です。内訳として、事前準備、移動時間・費用、資料の印刷代や手土産など、訪問するというだけでコストの嵩む行為であるといえます。
さらに、訪問することは見込み顧客にとっても、必ずしもが価値があるとはみなされていないようです。Hubspotが実施した見込み顧客への「好印象を受ける営業のポイント」についての調査(【2020年版】営業活動の改善に役立つ73の衝撃的な統計)によると、次の項目が上位に入っています。
- プロスペクトのニーズに耳を傾けること(69%)
- 押しつけがましくしないこと(61%)
- プロスペクトに当てはまる情報を提供すること(61%)
- すぐに対応すること(51%)
出典:HubSpot「Buyers Speak Out: How Sales Needs To Evolve」
上記のポイントを満たした営業活動であれば、対面でなくても見込み顧客は営業の介在価値を感じることができると言えます。
コロナ禍をきっかけに進んだ非対面営業
コロナ禍となったことをきっかけにオンライン上での面談や営業活動が進み、必ずしも対面営業が当たり前では無くなってきました。
例えばBtoCのアパレル産業では、以前は店員が顧客と直に接しながら営業していたところ、コロナ禍では動画ライブ配信ツールを用いた服の紹介やコーディネートの提案が進み、ライブ視聴しながら顧客が購入可能な「ライブコマース」も普及しました。
BtoBの営業においても、Web会議ツールを使った営業が一気に普及しました。またセミナーを使った集客営業においても「ウェビナー」と呼ばれるWeb会議ツールを活用した非対面型セミナーが広く普及しました。
オンラインツールの活用により、これまでに地理的な制約や会場サイズで参加が難しかった顧客層へのリーチが可能となり、対面型では実現できなかったスケールが生まれつつあります。
質を重視した営業活動
コロナ禍でテレワークの導入が進んだことで、社内でも顔を合わせてやりとりするのではなく、Web会議やメール・チャットを活用したコミュニケーションが主流になりました。エンワールド・ジャパンの調査によると、テレワークの導入で最も課題となったのが「社員間のコミュニケーション」だと回答されています。(外資系企業:67%、日系企業:74%)
出典:en world「グローバル企業のテレワーク実態調査」
特に営業という職種では、営業部門の責任者が各担当者の顧客へのアプローチや関係性の構築を把握し、多くの企業でそれを人事評価基準として設定しています。しかしながら、テレワークの導入により働いている様子がわかりにくく、従来の人事評価がしづらくなったと感じている企業もあります。
アフターコロナでは従来の営業方法に完全に戻るというよりも、インサイドセールスをはじめとしたテレワークでの営業が続いていくことが続いていくことが予想されており、営業の人事評価体制も見直していく必要があるといえます。
具体的には、社内でのコミュニケーションに基づく主観的な評価から、SFAやCRMなどの営業支援ツールを活用してデータとしてトラッキングし、データを基にした客観的な評価への見直しが必要となってきています。
営業活動のデジタル化
営業担当者の業務は、見込み顧客との商談だけでなく、社内会議や事務処理作業など売上に直接結びつきにくい業務まで多岐に渡ります。
「営業マン1,000人に、自身の業務の中で無駄に感じる業務・効率を上げたい業務について質問した」ベルフェイル株式会社の調査によると、「社内会議」が1位にランクインしました。また、2位に商談の事前準備、3位に商談に伴う移動時間と、非対面営業の導入でより効率化が可能な業務が上位にランクインしています。
出典:Sales Tech Hub by bellFace 「【1000人アンケート】営業職の平均残業時間は?年齢・年収・家族構成別の調査結果」
1位の社内会議については、多くの営業組織で全員が同じ時間に会議室に集まり、数字報告会議を行うのが常識のように思われています。しかし、オンライン上で共有されたファイルに各営業担当者が数字を入力し、気になる点だけを上司が確認するようなプロセスを踏めば、特に問題のない担当者は、会議時間を別の業務に当てることができます。
2位の商談の事前準備は、対面営業でも非対面営業でも必要な業務ですが、非対面営業では、資料の印刷や手土産の購入、相手のオフィス場所・移動ルートの確認などの手間が削減できます。
3位の商談に伴う移動時間は、非対面営業の導入で最も時間・コストが削減できる点といえます。これまで移動に費やしていた時間を、新たな見込み顧客との面談時間に使うことができます。
このように、営業活動をデジタル化することで、時間とコスト面でも多くのメリットが得られます。
顧客エンゲージメント管理
HubSpotの営業の生産性に関する統計によると、
「営業担当者が実際に見込み顧客と話をしている時間は、1日の3分の1にすぎません。1日の21%はEメール作成に、17%はデータ入力に、さらに17%はリードの新規獲得と調査に、12%は社内のミーティングに、そして12%は電話のスケジューリングに費やされています。」
このデータからわかる通り、営業担当者が顧客とコンタクトを取れる時間は、想像以上に限られています。受注に繋がる見込みが薄い顧客に何度もアプローチすることは、貴重なリソースを無駄に使うこととなり、コストパフォーマンスが悪いです。
逆に、受注に繋がる見込みが高い顧客に対してアプローチできていない場合、獲得の機会を失うだけではなく、見込み顧客との信頼関係も失うことになりかねません。
つまり、受注の可能性が高い見込み顧客とそうではない見込み顧客を常に整理し、適切なアプローチをかけ続けることが、最大のパフォーマンスを発揮する鍵といえます。
近年では、欧米をはじめ日本でも顧客管理をサポートするSFA/CRMの導入や、訪問なしで効率的なリード獲得を実現するインサイドセールスなどの手法が発達しています。有望な見込み顧客の見極めに膨大な時間をかけるのではなく、それらのツールや手法を効果的に使用して、時間を有効に使うことが大切です。
ただし、SFA/CRMのような新しいツールや手法を導入するのは簡単ではありません。ツールを導入しても、営業担当者の間で
- ツールの使い方が難しく入力が億劫
- 既存の業務フローを崩したくない
- 業務の負担を増やしたくない
といった課題が出てくる可能性もあります。
こういった課題に対して、
- SFA・CRM ツールの導入目的から必要な情報や機能の要件定義を行う
- SFA・CRM ツールでワークフローを組み自動化する
- 営業担当者がツールを使いこなせるように教育・研修を行う
- ツールの導入目的とメリットを理解してもらう
など、現場ができるだけスムーズに動くような、サポート体制の整備や、自社に合ったサービス選定が必要です。
参考:
まとめ
- 近年営業を取り巻く環境は大きく変化しており、コロナ禍がその動きを後押ししている。
- コロナ禍をきっかけにオンライン上での面談や営業活動が進み、必ずしも対面営業が当たり前では無くなってきた。
- 社内でのコミュニケーションに基づく主観的な評価から、SFAやCRMなどの営業支援ツールを活用した客観的な評価への見直しが必要となってきている。
- 営業活動をデジタル化することで、時間とコスト面でも多くのメリットが得られる。
- SFA/CRMのような新しいツールや手法を導入する際は、サポート体制の整備や、自社に合ったサービス選定が必要。
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