BtoB SaaSを成功に導くKPIとは?「プロセスの見える化」で課題を発見する方法
BtoB SaaSを成功に導くKPIとは?「プロセスの見える化」で課題を発見する方法
「事業の現状を変えたいが、何が課題なのか分からない」
「課題や打ち手に関する仮説が本当に正しいか不安である」
期待していたような事業の成長が実現できていない時、このような悩みに直面することがあると思います。そこで苦しい状況を好転させるために、施策の導入を前向きに検討し始める。
しかし、焦りや悩みを感じていても、行動を起こさなければ状況を変えることはできません。新しい解決策を導入しても、それが本質的な課題を解決するためのソリューションでなければ、不必要な出費や作業が増え、結果的に状況をさらに悪化させてしまう可能性があります。状況をプラスに転じるためには、まず自社が向き合うべき課題を特定しなければなりません。
では、どうしたら意思決定者が確かな根拠を元に課題を見つけることができるのでしょうか。その最大の鍵は、事業の大きな目標を達成するまでの「プロセス」を可視化することです。プロセスを構成するそれぞれの要素に具体的な数値を設定することで、ボトルネックの発見が可能になります。
本記事では、「結果」を見る指標であるKGIと「過程」を見る指標であるKPIを設定して課題を発見する方法を、サブスクリプションビジネスの具体例と共に詳しく解説してきます。
目次
KGI・KPIとは
KGIとは
Key Goal Indicatorの略語で、日本語では重要目標達成指標と呼ばれます。事業全体の最終的な目標や達成したい成果、具体的には売上や利益を設定して、企業が目指すゴールを定量的に示します。
KPIとは
Key Performance Indicatorの略語で、日本語では重要業績指標や重要経営指標と呼ばれます。よく設定されるKPIとしては
- 新規顧客獲得数
- 顧客満足度
- 成約数
が挙げられます。KGIが企業や事業全体の目標達成度を評価する指標であるのに対し、KPIはそこに至るまでに必要なプロセスの進捗度合いを示す指標です。そのため、KPIは最終的な目標の達成に向かってプロセスが適切に実行されているかを計測し、ゴールまでのプロセスを見える化することができます。

KGI・KPIを用いて課題を発見する方法
実際に課題を発見するためには、KGI・KPIをどうやって設定すればいいのでしょうか。
1. KGIを設定する
最終的な目標が明確になっていなければ、メンバー全員が一丸となって目標達成に向かうことはできません。全体の目標をまずKGIとして設定し、その企業や事業が「どうなりたいか」を具体的な値でメンバーと共有します。
2. KGIをKPIツリーにブレークダウンする
KGIを設定したら、KGIをどのような要素に分解できるか検討し、逆算して各構成要素のKPIを算出します。コントロールできない値を設定しても実効性が伴わないと意味がないため、実現可能で計測できる値を設定します。KGIの分解要素をツリー状に可視化したものがKPIツリーです。
例えばサブスクリプションビジネスの場合、粗利というKGIに対して直接因果関係のあるKPI指標を顧客数・顧客生涯価値に分解できます。そこから当てはめた構成要素をさらに細分化します。顧客数は新規顧客数とリピート顧客数に、顧客生涯価値は経常収益と継続期間に分解できます。もっと細分化すれば、新規顧客数は新規で購入意向を持った人の総数と購入率に分解できます。全ての相関をKPIツリーで表すと以下の図の様になります。

粗利から購入意向を持った人の総数と購買率まで細分化して、もし購入意向を持った人の数がKPIとして設定した値を下回っていれば、そこがボトルネックです。状況を変える解決策として、MAの導入などが適切だと考えられます。
このように、KGIと連携している全ての要素にKPI指標を設定して実際の数値と比較することで、大きな目標を達成するためのプロセスのどこに課題があるのか認識することができます。客観的な数値が評価基準であるため、目標と現状とのギャップを埋めるための解決策を意思決定者が自信を持って導入することが可能です。
KGI・KPI運用に失敗するケースも
KGI・KPIの設定には上記で述べたメリットがありますが、実際に運用できていないケースがあるのも事実です。
例えば、海外スタートアップのSonarはROIというKPIを測定できていなかったことが原因で費用対効果の低い施策を導入し続け、結果的に事業は失敗してしまいました。
KGI・KPIの運用に失敗する典型的な要因としては
- データを正しく扱えていない
- 適切でない値をKPIに設定している
- 設定した値だけを意識して、KPIの値を達成することが目的になってしまう
- チーム内で意思統一ができておらず、設定したKPIを運用する環境が整っていない
などが挙げられます。
KPIに設定した値だけを意識しても、その値が実際にKGIを達成するために価値のある数値でなければKGI・KPIを設定することに意味はありません。KGI・KPIの設定だけを目的とするのではなく、なんのために設定するのかを考えて、自社に合ったKGI・KPIを設定する必要があります。KPIを設定してKGIを達成させる、KGIが達成されなければ状況を分析して課題を見つける。そこにKGI・KPI設定の意義があります。KGI・KPIを正しく運用するための環境整備ができていることの確認も欠かせません。
データを正しく扱うために必要な「データクレンジング」に関しては、こちらの記事で解説しています。
KGI・KPIを正しく設定して課題を発見するためには
KGI・KPIを設定することで、最終的な目標達成の障害となるボトルネックを発見することができます。数値が評価基準となるため、意思決定者は状況をプラスに転じるための解決策を根拠と共に導入することが可能です。
KGI・KPIを最大限に活用するためには、KPIに適切な値を設定し、データを管理するための環境整備が必要です。そのため、KPIの項目や値を設定する前に、自社のビジネスに必要なKPIや運用方法を理解していなければなりません。
サブスクリプションビジネスに置いて重要なKPIや、正しく運用するための方法を詳しく解説していますので、是非こちらもご覧ください。
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