営業マネージャーにまつわる誤解とこれからのマネージャー像
営業マネージャーの負荷が慢性的に高まっています。
ご存知の通り、営業マネージャーはチームの予算達成に責任を持っており、その役割は、営業戦略の立案や案件・売上管理、メンバーの育成、チームマネジメント、経営への報告など多岐にわたります。
さらに、メンバーが担当している商談に同席にすることに加え、プレイングマネージャーの場合、自分自身の商談を抱えていることもあるでしょう。
また、働き方改革における意識の高まりを受け、メンバーの労働時間が限られる一方で、会社としての目標は据え置かれ、予算を達成するために、マネージャーにしわ寄せがいっている企業も多く見られます。
皆さんの組織でも、会議に商談にと、いつも夜遅くまで忙しくしている営業マネージャーの姿が想像できるのではないでしょうか。
しかし、現在、営業マネージャーが行っていることが、本当に全て必要なのでしょうか。本記事では、営業マネージャーという職務に対する誤解を解き、本当に必要とされる営業マネージャー像についてお伝えします。
営業マネージャーが担う役割とは?
営業マネージャーのミッションは、チームとして成果を出すことであり、そのために、以下の役割が求められています。
- 会社の経営戦略や事業計画を達成するため、具体的な営業戦略の立案、戦術構築、そして実行
- 立案した戦略、及び、組織の営業プロセスやオペレーションの実行効果や効率性の検証・改善
- 個々のメンバーの性格や能力、課題を理解し、アドバイス・コーチングを通したメンバー育成
- メンバーの目標設定や成果の評価、密なコミュニケーションによる、モチベーション管理
しかし、上記の本質的な役割を理解しながら、実態としては、以下のような作業に忙殺されている営業マネージャーが多いのではないでしょうか。
- 1つ1つの商談の進捗を把握し、フォローアップ
- メンバーの電話数、メール数、訪問数などの活動量の管理
- 案件を担当するメンバーの割り当て
- 目標とするKPIの設定と達成率の管理
- 予算と着地見込みの経営への報告
リクルートマネジメントソリューションズが実施した「ミドル・マネジャーの役割に関する実態調査」によると、マネージャーの役割を以下の5つに分類して、その時間配分を見てみると、方針づくりや部下マネジメントに費やしている時間は、最大でも50%に満たないということが判明しています。
つまり、営業マネージャーは、半分以上の時間を、本質的な役割以外の仕事に費やしてしまっているのです。
- 業務マネジメント
業務の計画、割り当て、進捗管理、トラブル対応、問題解決、など - 方針づくり
組織の方向性やビジョンを考え・提示する、戦略や戦術の決定や修正、など - 部下マネジメント
方針や業務分担の意味を伝える、意欲や能力を高める、相談に乗る、など - 対外的活動
社内外のネットワーキング、情報収集、対外発信、など - プレイヤー業務
※株式会社リクルートマネジメントソリューションズ ミドル・マネジャーの役割に関する実態調査より引用
業務マネジメントはマネージャーの役割か?
さらに、同調査によると、どのタイプのマネージャーも、プレイヤー業務の時間を減らし、他の業務の時間を増やしたいと考えていることが分かります。
※株式会社リクルートマネジメントソリューションズ ミドル・マネジャーの役割に関する実態調査より引用
ここで注目したいのは、「業務マネジメント」についても、軒並み強化したいという思いがあるということです。
皆さんは、業務マネジメントの強化と聞いて、何を想像されるでしょうか?
- 案件の細かな進捗管理
- 予実の詳細な管理
- 1つ1つの案件や営業活動の把握
- CRM システムの活用促進
これらのワードが出てきたら黄色信号です。
HubSpot Japanが2019年に行った「日本の営業に関する意識・実態調査」によると、営業メンバーは、労働時間の25.5%が無駄であると回答しています。
具体的には、無駄と感じている業務は以下の通りです。
1位 社内会議(33.9%)
2位 社内報告業務(32.4%)
3位 キーパーソンとの面会ができず再訪問(26.6%)
4位 日々の商談の移動時間(24%)
今でも、営業メンバーは、マネージャーへの報告のために、ツールへのデータ入力や報告書の作成、会議での説明が求められています。
一部自動化されていれば良い方で、エクセルなどで管理されていることも多いでしょう。
管理のためにデータを入力するという作業は、営業メンバーの大きな負担となっています。
このような状況の中、さらに業務マネジメントを強化するとなると、どのような結果になるでしょうか。
業務マネジメント強化がもたらすデメリット
1つの例を見てみましょう。
ある営業組織では、営業マネージャーが、営業メンバーの抱えている案件の全量や進捗が把握できず、悩んでいました。
そこで、営業マネージャーは、ツールへのデータ入力に関する細かなルールを定め、週次の社内会議では、案件の詳細な状況を1件ずつ報告するようにメンバーへ求めました。
最初に起きたことは、ツールへ入力されたデータに抜け漏れが目立つようになったことです。
これでは、正しい状況が把握できないと考えた営業マネージャーは、アドミンを設置し、週次会議の前に、案件情報が正しく入力されているかをチェックする機能を設け、抜け漏れがあった場合は、メンバーに修正するように求めました。
しかし、入力する項目が多く、さらに各項目の意味も分かりにくいことから、営業メンバーもいちいちマニュアルを見ながら入力しないといけません。
この作業を、本来の営業業務を行いながら実施しないといけないため、なかなか入力率の改善には繋がりませんでした。
仕方なく、抜けているデータについては、週次会議の中で、口頭で説明するように求め、その内容をアドミンが代理で入力するという方法を採るようにしました。
しかし、問題はこれでは終わりません。
営業メンバーは、1つ1つの案件について、マネージャーに細かく管理・口出しされることを嫌い、案件の存在自体を隠すようになってしまったのです。受注確度が高まったタイミングで、初めてデータを登録するようになりました。
元々、生じていた案件状況が把握できないという問題は、ますます悪化してしまったのです。
少し極端な例ですが、似たようなことは、どこの営業組織でも心当たりがあるのではないでしょうか。
本当に営業マネージャーに期待するべきこととは?
近年、営業組織を支援するテクノロジーが多数出現しています。
米国では、Sales Management Technology (SMT) と呼ばれる、データの収集・分析・可視化やそれに基づいた売上予測、アクションの提案を行うテクノロジーの市場が誕生しています。
これまで、管理のために、人間が長い時間をかけて入力・加工してきたものが、テクノロジーにより、より正確かつ高いレベルで実現されるようになってきています。
管理型の営業マネージャーが行ってきた作業は、テクノロジーに置き換えられ、管理することで職務を遂行した気になっていた営業マネージャーは淘汰されていくでしょう。
では、そのような時代において、必要とされる営業マネージャーとは、どのような人物でしょうか。
それは、チームの方針を策定し、メンバーをリードし、成功に導くことができるマネージャーです。つまり、営業マネージャーの本質的な役割である以下のことに、その全ての時間を割き、徹底的にやり切ることができるマネージャーです。
- 会社の経営戦略や事業計画を達成するため、具体的な営業戦略の立案、戦術構築、そして実行
- 立案した戦略、及び、組織の営業プロセスやオペレーションの実行効果や効率性の検証・改善
- 個々のメンバーの性格や能力、課題を理解し、アドバイス・コーチングを通したメンバー育成
- メンバーの目標設定や成果の評価、密なコミュニケーションによる、モチベーション管理
まとめ
テクノロジーの進歩により、営業マネージャーは、より本質的な役割に集中できるような時代になってきています。
そのためには、これまでのような、単なる案件のステータスや、個々のメンバーによる肌感覚での受注確度というデータではなく、案件や組織の生の状態やメンバー1人1人の能力を可視化するデータや指標が必要となってきます。
また、これらの新たなデータや指標を基に組織運営を行うという、強い変革の意思が必要となってきます。
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